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ウルトラ・ダラー

著者「手嶋龍一」のみがフィクションと言っているだけのノン・フィクション小説。

北朝鮮による国家的犯罪の日本人拉致事件の隠された目的は、偽100ドル札「ウルトラ・ダラー」製造のため・・・

著者の記者時代に入手した”インテリジェンス”を不断に盛り込んだ作品で、緊張感溢れる場面が数々描かれている。

突如来日したパン・シオンこと金正日(キム・ジョンイル)氏の長男金正男(キム・ジョンナム)氏。彼の拘束から、外務、法務、警察の担当者会議の経緯。そして釈放、中国・北京への送迎までの一連の話は非常に興味深い。金正男程の人物が動くにはそれなりの理由があり、報道されいる「家族でディズニーランドに行くのが目的」では到底無いであろう事も示唆している。

また、最近(2006/06/16)では、北朝鮮の金正日総書記の有力な後継者として急浮上している次男金正哲(キム・ジョンチョル)氏がドイツでエリック・クラプトンのコンサートを見に来たのもそれなりの”目的”があったのではないかと憶測する。

日本国内で偽500円硬貨大量に発見される事件などは、朝鮮半島に近い沿岸地域で発生する事が多いと感じるのも意外では無いのかも知れない。偽硬貨を大量に製造するにはそれなりの機械や技術が無ければ出来ないことを考えれば、素人に容易に出来る事では無い。

アメリカが北朝鮮の資金洗浄(マネーロンダリング)に絡んで、マカオの銀行バンコ・デルタ・アジアに金融制裁を発動したり、米誌ニューズウィークが、アメリカが国家ぐるみで米ドル札を偽造している疑いが濃厚としている北朝鮮への金融制裁を特集した記事で、米国の取り締まりの「真の標的は平壌(北朝鮮)ではなく北京(中国)」とする専門家の見解を伝えたりと小説の中の世界が次々と現実になっている感がする(「ウルトラ・ダラー」でも中国の影を示唆している)

北朝鮮が「テポドン2号」の発射をチラつかせながら、アメリカに二国間協議を迫った(2006/06/21)ところを見ると、マカオの銀行を抑えられたのが相当に苦しいのではないかと感じる。なにせ現金が手に入らなければ、ミサイル発射の燃料すら購入出来ない。北朝鮮のウォンでは国際社会は何も売ってはくれないだろう。今回のミサイル発射騒動が形だけに終わったら、相当に北朝鮮のエネルギー事情が切迫しているとも考えられるのではないか。

北朝鮮の貿易の軸が中国、韓国に移ってしまった今、日本が経済制裁に踏み切ってもさほどの影響も無いのではと感じる。日本からの物資がストップしてもその分、中国、韓国が補ってくれるだろう。国境が接している中国・韓国にしてみれば数千、数万単位の難民が国境を超えるほど恐ろしい事は無いと思う。そのため、北朝鮮国民が飢え死にしない程度に援助をするはずだ。

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