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硫黄島からの手紙

監督:クリント・イーストウッド

キャスト:渡辺謙/二宮和也/伊原剛志/加瀬亮/中村獅童/祐木奈江

3ff7b8d4_3 既に制空権と制海権をアメリカ軍に掌握されていた戦局であったにも関わらず硫黄島を死守する事など不可能に等しく無意味とすら思える。大本営は本土決戦の時間稼ぎに硫黄島を捨て駒にしていた。しかし硫黄島に駐留する第109師団にはその事を知る由もなく、大本営からのプロパガンダを信じて浜辺に掩蔽豪を掘る。

戦略家の栗林中将(渡辺謙)の着任は、それまでの場当たり的な旧指揮官たちとすぐさま衝突が起きる。インドシナ半島での戦いや沖縄上陸戦での膨大な数の死傷者を生んだのは部隊を指揮する指揮官が”大和魂”的な玉砕戦を慣行した為である。「父親たちの星条旗」で衛生兵が中心人物であったのは、本作との対比となっているようにも思える。

元々戦略をもたない旧日本軍がアメリカに勝利する事など不可能であったのでろう。しかしその戦略家・栗林中将ですら、最後は「天皇万代」を叫んで玉砕戦に撃って出るのは、劇中「自分の意思と日本の意思は同じ」と答えていた日本国軍人の性なのかも知れない。

929adf3d_1戦闘前の平時には部下に優しく語りかけ、ひとたび戦闘が開始するや怒号で叫ぶ栗林中将の”静と動”を演じる渡辺謙の演技は見事だ。主要キャスト以外の配役はオーディションで選ばれたのか、演技力の差が歴然としているように感じる。台詞を棒読みしているような役者もいたように感じるが、邦画のように、2~3人の有名俳優だけで話が展開しない分、映画そのものに深みが感じられ、それだけに渡辺謙の迫力が一際光る。

前作「父親たちの星条旗」同様、戦闘シーンの凄まじさは筆舌に尽くしがたい。日本軍が沖縄やインドシナ半島などで玉砕戦や自決を慣行した事は史実では知っていたが、映像として目の当たりにするのは多分初めてで、手榴弾で自決するシーンは衝撃を受けた。劇場内には両親に連れられた小学生と思しき子供がいたが、彼らに見せるのが適当なのか疑問に思う。

戦争体験者は多くを語りたがらず、戦争未経験者は戦争を美化する傾向にある日本において、奇しくもアメリカ人監督によって旧日本軍の悲劇を追体験する事になるとは、皮肉な事かもしれない。

国家の戦略によって人生を左右された日米の兵士たち。改めて国家とはなにか、戦争とは何かと、考えさせられる2作品であった。

クリント・イーストウッド監督による”硫黄島2部作”の前作にあたる「父親たちの星条旗」を鑑賞した後であるせいか、本作を鑑賞していると不思議にな感覚に囚われるシーンがあった。硫黄島に米軍が上陸し日本軍と対峙している戦闘シーンを見ていると、頭の中で2人の視点で同時に体験しているかのような感じがした。

http://www.eigaseikatu.com/title/16422/(映画生活:硫黄島からの手紙)

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