監督:ギレルモ・デル・トロ
キャスト:セルジ・ロペス(ビダル大尉)/イバナ・パケロ(オフェリア)/アリアドナ・ヒル(カルメン)/マリベル・ベルドゥ(メルセデス)
内戦の終結後もパルチザンによる散発的な争いの続くスペイン/1944年。少女(オフェリア)は母(カルメン)と共に、新しい義父(ビダル大尉)の待つ、山中へ向かう。
過酷な現実に希望を失ったオフェリアは、フェアリーテイル(妖精)に導かれて、ラビリンス(迷宮)の扉を開く。オフェリアは遠い昔に亡くなった、魔法の王国のプリンセス・モアナの生まれ変わり。
再び王国に戻るには、現実世界で”3つの試練”に耐えなければならない。
「ロード・オブ・ザ・リング」や「ハリーポッター」がファンタジー映画のメジャーならば、今作「パンズ・ラビリンス」は、日本に於いてはマイナー作品かもしれない。PG-12指定でもあり、あまり話題には上がって来なかった感じもする。
しかしながら、現実の世界(1944年/スペイン)の動乱とファンタジーの世界が密接に絡み合うストーリー展開は、観客を魅了しスクリーンから目が離せない。全く別世界を描く「ロード・・・」や「ハリー・・・」に比べるとリアルな感じを受ける。
スティーブン・キングやピーター・ストラウブの小説に寄って、ダーク・ファンタジーの扉を開いた私からすると、「ロード・・・」は甘過ぎるし、「ハリー・・・」はお子様向け映画に過ぎなかった。
「パンズ・ラビリンス」は、ファンタジーの形態を採っているが、本当に異世界を描いたのだろうか?
過酷で残虐な現実世界で精神のバランスを崩したオフェリアが救いを求めたのが、大好きな”おとぎ話”の世界。魔法の王国もプリンセスの生まれ変わりもオフェリアが抱いた妄想に過ぎないのでは無いかと感じたりもする。
人の心の裏側には、残虐な世界やラビリンスが広がっている。そんな心情を上手く映像化しているようにも思える。
オフェリアを導くパン(神父)。その姿はヤギの頭を持つ異形であり、観客が感じていた事をオフェリアが発する「あなたを信じていいの?」
外見で人を判断してしまう、人間のダーク(残虐)部分を具現化したシーンに思える。
映画の手法的には、エンディングを予感させるシーンを冒頭に挿入したり、壁や柱、大木をカメラが横切ると次のシーンへ展開するなど、然程目新しい感じは無かったがスクリーンから目が離せない映像美がある。
映像を見ている事で、色々とインスパイアされる作品などは沢山無いが「パンズ・ラビリンス」を見終えると自分の中に「新しい引き出し」が増えた感じがする。
普段写真撮影を趣味としているが、この引き出しが何かの役に立ってくれる日がくるような気がしてならない。
感情や心を非常に豊かにさせてくれる上質の作品に出会えた感じが今も残る。
悲しいくも残酷な感じもするラストシーン。でも逆にホッとする感じも残る不思議な終わり方。この世の中で一番大切な物とは何かを問い掛けている作品だと思う。
エンドロールを見ながら、鳥肌が立つ感覚を始めて味わった。
映画生活(http://www.eigaseikatu.com/title/17661/)
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